公開日:2026年9月24日

派遣の職歴が書きにくいのは、雇われている会社と、実際に働いた場所が違うからです。ここを分けて書けば、行数が増えても読みにくくはなりません。就業先が多い方ほど、書き方の型を先に決めておくと早く終わります。
書き始める前に、契約の記録を集めます
派遣は就業先が変わるぶん、年月の記憶があいまいになりやすい働き方です。思い出しながら書くと、必ずどこかがずれます。先に材料を集めてください。
| 集めるもの | 分かること |
|---|---|
| 就業条件明示書・雇用契約書 | 派遣元・派遣先の正式名称、期間、業務内容 |
| 離職票、雇用保険被保険者証 | 資格の取得日と喪失日 |
| 源泉徴収票 | その年に在籍していた派遣元 |
| 給与明細 | 就業していた月の範囲 |
| 派遣元のマイページ | 就業履歴が一覧で残っていることがある |
社名は略さず、「株式会社」の位置まで契約書のとおりに書き写してください。派遣会社は似た名前が多く、支店名まで含めて記載されている場合もあります。
雇用主は派遣元、働いた場所は派遣先です
派遣で働くとき、雇用契約を結んでいるのは派遣元(派遣会社)です。実際に指示を受けて働くのは派遣先ですが、給与を支払い、社会保険を扱っているのは派遣元になります。
履歴書の職歴欄は、在籍していた会社を並べる欄です。したがって、行の主語になるのは派遣元で、派遣先はその中で「どこに派遣されていたか」として添えます。逆にすると、実際には在籍していない会社の名前が職歴として並ぶことになり、確認が入ったときに食い違います。
基本の書き方
20XX年 4月 株式会社〇〇スタッフ 入職 派遣社員として株式会社△△(事務用機器メーカー)へ就業 営業事務として受発注業務を担当 20XX年 3月 契約期間満了により退職
1行目で派遣元、2行目で派遣先、3行目で担当した仕事、最後に退職の行、という並びです。行数に余裕がなければ、担当業務の行は省いて構いません。職務経歴書を別に出すなら、詳しい中身はそちらに回します。欄そのものの数え方は学歴・職歴欄の書き方で解説しています。
「派遣社員として」を必ず入れます
この一語がないと、正社員として在籍していたように読めます。雇用の形は、選考で確認される事項です。省いて有利になることはなく、あとで説明する手間が増えるだけなので、書いておいてください。
書式は書類の中でそろえます
派遣元・派遣先・業務内容の3つを、どの行でも同じ順番で並べてください。行によって順番が入れ替わると、就業先の数だけ読み直すことになります。字下げの位置もそろえておくと、行数が多くても目で追えます。
同じ派遣元で、複数の派遣先を経験したとき
派遣元が同じなら、在籍は続いています。入職の行は1回だけ書き、その下に就業先を順に並べます。
20XX年 4月 株式会社〇〇スタッフ 入職 派遣社員として下記に就業 20XX年4月〜20XX年3月 株式会社△△(食品商社)/営業事務 20XX年4月〜20XX年9月 株式会社□□(保険)/内勤事務 20XX年 9月 契約期間満了により退職
この形にすると、転職を繰り返しているのではなく、1社に在籍しながら就業先が変わったことが伝わります。就業先ごとに入職・退職を書くと、実際より転職回数が多く見えます。
就業先が多すぎて入りきらないとき
10か所を超えるような場合は、履歴書側では「派遣社員として複数企業に就業(主な就業先:△△、□□)」とまとめ、一覧は職務経歴書に載せます。履歴書に無理に詰め込むと、文字が小さくなって読めません。
ブランクが挟まっているとき
契約が終わってから次の就業までに間が空くことは、派遣ではよくあります。数か月であれば、とくに書き添えなくても不自然には見えません。1年以上空いているなら、その期間に何をしていたかを一行だけ添えてください。求職活動を続けていたのなら、そのままそう書けば足ります。
派遣元が複数あるとき
登録していた派遣会社が複数あるなら、派遣元ごとに行を分けて、時系列で並べます。同じ時期に2社へ登録していた場合でも、実際に就業していた期間で並べれば混乱しません。
登録だけして就業しなかった派遣会社は、職歴になりません。書く必要はありません。
契約が終わったときの書き方
契約期間満了
期間の定めがある契約が終わって離れたのなら、「契約期間満了により退職」と書きます。自己都合とも会社都合とも違う、派遣に固有の終わり方です。
派遣には、同じ組織単位で働ける期間に上限が定められています(労働者派遣法)。そのため、本人の働きぶりと関係なく契約が終わることがあります。満了と書いてあれば、読む側もそう理解します。
自分から辞めたとき
契約の途中で自分の都合により離れたのなら、「一身上の都合により退職」です。満了ではないものを満了と書くと、事実と違うことになります。退職理由の書き分けは退職理由の書き方で解説しています。
終わり方が分からなくなっているとき
数年前のことで、満了だったか自分から辞めたかがはっきりしないなら、離職票の離職理由を見てください。そこに書かれている区分が、公的な記録として残っているものです。手元にない場合は、派遣元に問い合わせれば確認できます。推測で書かないでください。
派遣先の都合で終わったとき
事業の縮小などで、契約期間の途中に終了した場合は「派遣先の都合により契約終了」と書けます。詳しい事情は面接で説明すれば足りるので、履歴書は一行で構いません。
働き方の種類は、書き分けたほうが伝わります
| 働き方 | 職歴欄での書き方 |
|---|---|
| 登録型の派遣 | 派遣社員として〇〇へ就業 |
| 無期雇用の派遣 | 無期雇用派遣社員として〇〇へ就業 |
| 紹介予定派遣 | 紹介予定派遣として〇〇へ就業 |
| 請負・業務委託 | 派遣ではないため、契約の形をそのまま書く |
紹介予定派遣から直接雇用に切り替わったのなら、そこで会社が変わっています。派遣元を退職し、派遣先に入社した、という2行で書いてください。
派遣先の社名を書いてよいか
基本的には書いて構いません。就業していた事実は、隠すような性質のものではないからです。ただし、派遣元との取り決めで社名を出せない場合があります。心配であれば、派遣元の担当者に確認してください。
出せないときの書き方
社名の代わりに、業種と規模で示します。「大手電機メーカー」「従業員500名規模の物流会社」といった書き方なら、どんな環境で働いていたかは伝わります。空欄にするより、はるかに情報になります。
就業先が自分で公開している場合
派遣先が採用のページなどで受け入れを公表していることもありますが、それは書いてよいかどうかの判断材料にはなりません。取り決めがあるかどうかは、契約書か派遣元の担当者に確認してください。
業務の中身に守秘があるとき
扱った製品名や取引先を伏せる必要があるなら、役割と規模だけを書きます。「受注データの入力と照合を、1日あたり200件程度」のように、数量で示せば具体性は保てます。
派遣の経験を、どう見せるか
就業先が変わっていることを弱みだと考える必要はありません。見せ方の軸を、会社ではなく仕事に置き換えるだけです。
同じ職種を続けてきた場合
就業先が5つあっても、すべて営業事務なら、それは5年なら5年ぶんの営業事務の経験です。職務経歴書の冒頭に「営業事務として通算X年」と書いてください。読む側は、まずその一行で経験の量をつかみます。
職種がばらついている場合
共通してできることを探します。電話応対、データ入力、来客対応、在庫の照合といった作業は、業種が違っても持ち越せます。応募先の仕事に近いものから順に並べてください。
新しい環境に入り直してきたこと
就業先が変わるたびに、業務の手順もソフトも覚え直してきたはずです。「立ち上がりの早さ」は、派遣で働いた人が実際に積んでいる経験です。ただし言葉で主張するのではなく、何日で通常の業務量をこなせるようになったか、といった事実で書いてください。
職務経歴書では、就業先ごとにまとめます
履歴書が「どこに在籍したか」であるのに対し、職務経歴書は「何をしてきたか」です。派遣の場合は、派遣元ではなく就業先ごとに区切って書くほうが読みやすくなります。
就業先ごとに、期間・業種・部署・担当業務・使ったソフトや機器を並べてください。短い契約が続いていても、同じ職種を続けているなら、それは一貫した経験です。職種でまとめ直すと、経験の厚みが見えます。型の選び方は職務経歴書の書き方で解説しています。
志望動機で問われやすいこと
派遣から正社員や契約社員へ応募する場合、志望動機では「なぜ今、雇用の形を変えたいのか」が読まれます。ここに答えがないと、条件だけで選んでいるように見えます。
安定を理由にしてよいか
働き方を変える理由として自然なものです。ただし、それだけで終えないでください。「腰を据えて担当を持ちたい」「引き継ぎまで含めて任されたい」というように、その会社で何をしたいのかへつなげます。
就業先が変わってきたことを聞かれたら
契約期間の定めがある働き方だった、と事実で答えれば足ります。本人の意思で辞め続けてきたわけではないことは、満了の記載から伝わります。書類の段階で言い訳を書き添える必要はありません。
職務経歴書と食い違わせない
志望動機に書いた「やりたいこと」と、職務経歴書に並べた経験がつながっていないと、根拠のない希望に見えます。先に職務経歴書を書き、そこにある材料で志望動機を組み立てるほうが早く仕上がります。
「現在に至る」の書き方
今も派遣で就業中なら、最後の行に「現在に至る」と書き、その次の行に「以上」を入れます。契約の終了日が決まっているなら、本人希望記入欄に「20XX年X月末で契約満了予定です」と書いておくと、いつから働けるかが伝わります。
行が足りないとき
| 削るもの | 残すもの |
|---|---|
| 担当業務の説明 | 派遣元の社名と在籍期間 |
| 就業先の業種の注記 | 就業先の社名 |
| 数か月の就業先の個別記載 | 「複数企業に就業」とまとめた行 |
削る順番を間違えないでください。在籍していた会社と期間は、最後まで残します。ここが欠けると、経歴の確認が取れません。社数が多いときの見せ方は転職回数が多い人の履歴書で解説しています。
よくある書き方の誤り
| 誤り | どう読まれるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 派遣先を「入社」と書く | その会社の社員だったと読まれる | 派遣元を入職、派遣先は就業と書く |
| 「派遣社員として」を省く | 正社員として在籍したと読まれる | 雇用の形を明記する |
| 就業先ごとに入退職を書く | 転職回数が実際より多く見える | 派遣元でまとめる |
| 契約満了を「一身上の都合」と書く | 自分から辞めたと読まれる | 満了は満了と書く |
| 登録だけの派遣会社を書く | 就業実態がなく説明できない | 書かない |
Rirekisyで作る場合
Rirekisyの職歴欄は、会社ごとに入社・退社の年月を組にして、行を追加しながら入力する形です。派遣元を会社名の欄に入れ、就業先と担当業務は同じ行の内容として続けて書いてください。行はいくつでも足せます。
履歴書と職務経歴書は同じ画面で切り替えて作成でき、基本情報や学歴・職歴といった共通の項目は引き継がれます。履歴書側は派遣元でまとめ、職務経歴書側は就業先ごとに書き直す、という作り分けがしやすくなっています。
職務経歴書では編年式と逆編年式を選べます。就業先が多い方は、直近から並ぶ逆編年式のほうが、今できることが先に目に入ります。
よくある質問
Q. 派遣先の社名は必ず書くものですか
書けるなら書いてください。取り決めで出せない場合は、業種と規模で示せば足ります。
Q. 3か月の就業が5回続いています。全部書きますか
派遣元が同じなら、入職の行は1つで、その下に就業先を並べます。転職を5回したようには見えません。
Q. 派遣から直接雇用になりました。どう書きますか
派遣元を退職した行と、派遣先に入社した行の2行に分けます。同じ場所で働き続けていても、会社は変わっています。
Q. 「入職」と「入社」はどちらが正しいですか
どちらでも通じます。派遣元に対して「入社」と書いても誤りではありません。書類の中で表記をそろえてください。
Q. 契約更新が続いた場合、更新のたびに書きますか
書きません。最初の就業開始と、最後の終了だけで足ります。
Q. 単発の日雇い派遣も書きますか
数日で終わったものまで並べる必要はありません。まとまった期間があるものを書いてください。
Q. 派遣の経験は、正社員の応募で不利になりますか
職種を続けてきたのであれば、その経験は評価の対象です。就業先が変わっても同じ仕事をしてきたことを、職務経歴書で示してください。
Q. 就業中に応募してもよいですか
問題ありません。契約の満了予定日を本人希望記入欄に書いておくと、入社時期の相談がしやすくなります。
Q. 派遣会社の担当者に、応募のことを伝えるべきですか
就業中の契約に関わるので、退職の時期が決まった段階で相談してください。書類を出す前に伝える義務はありません。
Q. 職務経歴書は派遣元ごとに分けますか
就業先ごとに分けるほうが読みやすくなります。何をしてきたかを示す書類だからです。